在宅介護しながらウィーンへ行く(行った)ブログ 猫とビターチョコレート

40代独身、介護離職してお金はないけど、車椅子の母を連れてウィーンへ行きました。
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左手はどこへ?

母が探している。
何かを探している。
落ち着きない瞳が不安げに動きまわっている。
・・・何を探してるの?

 「あのね、左手さんが見つからないの、私の左手さんが」

トイレのあと手を洗おうとしたそうな。
右手を洗って、さて次は左手って思ったら、見つからない。
麻痺した左手がどこにあるかわからない。

左手さんは肩の先についてるよ。
たどって探してみてね。
私が教えると、母はそのとおりに右手で左肩をなぞっていき
 「左手さん、あったあ!」
喜んでいた。

よくなった。
しっかりしてきた。
といってもまあ、こんな感じ。

麻痺した左手は今もぴくりとも動かない。
医者もサジをなげてる様子。
かつて母は左手を自分の体の一部とは理解できず、末娘だと思いこんでいた。
長いあいだ、左手は左手ではなく母とはべつの人格をもつ「ゆうこ」だったのだ。
左手のゆうこは、私には聞こえない声で母としゃべり、ごはんをねだり、優しく寝かしつけてやらなくてはならなかった。
エイリアンハンドという妄想の一種。
けっこう、不気味。
私はそれが嫌だったから
 「左手さん」
と名前をつけかえることにした。
人格は否定せずに、ただ「左手さん」という名で話しかける。
左手さん、今日はご機嫌どう?
左手さんはもう食べちゃったから、ご飯いらないって。
そうしたら、母もだんんだんわかってきたのか、ゆうこの人格はおとなしくなり、ごはんをねだらなくなり、しゃべらなくなった。
左手さんと呼びつづけることで、母は「これは左手だ」と理解しはじめたのだ。
私の勝ちだった。
左手の「ゆうこ」は今はもうめったに出てこない。

あとは・・・ちょっとでも動いてくれるといいんだけど。
そうしたら母も左手さんを探しまわらずにすむんだけどなあ。


今日、母の洋服をリサイクルショップに持っていったけど、一枚も引き取ってもらえませんでした。
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