在宅介護しながらウィーンへ行く(行った)ブログ 猫とビターチョコレート

40代独身、介護離職してお金はないけど、車椅子の母を連れてウィーンへ行きました。
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キラキラ星変奏曲

母が、今日、病気でたおれてから初めて、バイオリンにふれました。
右手に弓をもち、タカタカタッタと弾きました。
私がバイオリン本体を支え、母の指示通りに弦をおさえました。
 「はい1の指!3の指!」
その口調はすっかりもとのバイオリン教師の母でした。

 ラララララッラ
 ミミミミミッミ
 ファファファファファッファ
 ミミミミミッミ
 タカタカタッタ
 タカタカタッタ・・・

「きらきら星変奏曲」。
3歳の子供が初めての発表会で弾く曲です。
2人がかりで弾くバイオリンの音はそれはそれはひどいもので、3歳の子供よりへたくそでしたけど、弾き終わったときそこいらじゅうから拍手があがりました。
看護師さんや介護士さんや療法士さんがみんなで拍手してくれました。
まるで初めての発表会みたいに。
母はびっくりするほど姿勢よく、目をきらきらと輝かせていました。
まるで演奏会がおわったときみたいに。

左手の機能を喪った母は、もう2度と、昔みたいにチゴイネルワイゼンは弾けません。
ユーモレスクも愛の挨拶も弾けません。
あの優しくも勇敢な音色で歌うことがもうできないのです。
それはきっと母にとって、人間としての大事な一部分が死んでしまったことを意味するのだと思いました。
あまりに落ち込んでいたのでバイオリンの話はしないように私たち家族はずっと心がけていました。
だけど今日、母はきらきら星を弾きました。
ひどい音でしたけど、それでもやっぱり優しくて勇敢なバイオリンでした。
母の声にまちがいありませんでした。

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