在宅介護しながらウィーンへ行く(行った)ブログ 猫とビターチョコレート

40代独身、介護離職してお金はないけど、車椅子の母を連れてウィーンへ行きました。
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みんなでシベリウスを弾こう

母を連れてオケの練習へ向かう。
今日はエキストラの人たちも一緒にやるんだよ、というと
 「邪魔しに行くのね」
なんて母は呟く。
恐縮するにもほどがあるから、私は思わずこう返した。
 「せやで、邪魔しに行くんや。いっそのことガンガン邪魔したれ!」
車椅子になっても私はここにいるのだと、まだ弾けるのだと、みんなに見せてやろう!
『2人バイオリン』を見せつけてやろう!
 「ハハハ」
母は乾いた笑い声をあげた。

練習室に着いて。
ドアを開けようとしたら、先に開いた。
 「あ」
私たちと入れ違いに出てきたのは、母のバイオリン仲間のFさんだ。
車椅子の上にバイオリンケースを抱えた母を見て、Fさんはこう言った。
 「助っ人が来た」
部屋の中のメンバーに向かって
 「おおい皆さん、強力な助っ人が来ましたよー!」
いやいやそんな、助っ人だなんて。
そんな弾けませんのに。
母も私もたくさんの目に晒されて小さくなって練習室に入った。

恥ずかしそうに会釈しただけだったけど、母は嬉しそうだった。
「強力な助っ人」。
たとえ形だけでもそういってもらえて、覚えていてもらえて、嬉しかったんだと思う。
Fさんありがとう!

練習はちょうどシベリウスを始めるところだったので急いで支度をする。
今日はバイオリン、ビオラ、チェロ、コントラバスと揃っている。
私たち「2人バイオリン」もファースト・バイオリンで加わった。

曲は『祝祭アンダンテ』。
フィンランドの作曲家シベリウスの描いた、とてつもなく美しい曲だ。
バイオリンだけで弾いても、まるでフィンランドの雪景色が見えるようで綺麗だったけど、チェロが入るとそこに森があらわれ、コントラバスが入ると冬の白い陽光が差し、音がそろうと冷たくも明るいそよ風が、キラキラと吹くようだった。

みんなで弾けたのが嬉しいのだろうか。
それともFさんの一言が効いたのか。
母は今日は、上手に弾いた。
少なくとも2回は完璧に弾けたし、バイオリンが昨日よりもずっとよく歌っていた。
 「シャコンヌの出だしみたいに!」
と指示された最後の和音も見事に弾きこなした(実は和音に挑戦するのは初めてだった)。
『シャコンヌ(難しいバイオリンの曲)』という言葉に刺激され、何かを思い出したみたいだった。

私たち「2人バイオリン」が参加するのはシベリウスの一曲だけ。
あとの練習は用がないのだけれど、
 「もうちょっと聴いてる」
といって、母はそのまま次の練習を見学していた。
 「次のモーツァルトもね、難しいけど、とってもきれいな曲なのよ。
 ああいうのを弾いたら子供たちはとっても勉強になるやろうねえ」
…ああいうのを。
私も弾きたいと。
きっと思っているのだろう。

ごめん、私が弾けへんわー! 難しねんー!

次の練習は来週の土曜日。
またデイサービスをお休みしなくちゃ…。

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本日の猫写真。
玄関マットにまぎれてどこにいるかわかりづらいシシィさん。

わかりにくい

昨夜、シシィは2階から転落しました。
階段を上の吹き抜けの、手すりの上で遊んでいてバランスを崩したのでしょう。

ドーーーーン!

と、ものすごい音をたて落ちてきました。
でもちゃんと四本足をついて、見事な着地でございました。

ちなみに我が家の猫たちはだいたいみんな2階から落ちた経験があります。
子猫の洗礼といいましょうか。
サンジは着地がちょっとヘタで手のひらをすりむきました。
ケガなく着地したシシィはサンジよりも身が軽いようです。

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4 Comments

ねこママ says...""
お母さま、音楽家ならではですね!
長年舞台に立って来られたのでしょうか!
舞台の上でライトを浴び…この緊張感と充実感は忘れられないと思います。
ご病気をされたとは言え、忘れたり諦めたりするものではありませんよね🎵
素敵です。近くだったらコンサートに行きたいところです。
2016.08.22 11:44 | URL | #9MM/.TM2 [edit]
ロコ says..."よかった"
お母さまが、だいぶ気を取り直されたようで。
(前回の寛大なお返事、痛み入ります)

「祝祭アンダンテ」、コメントを入れるに先立ち、だださんの文章を頭に
入れてからを改めて聴いてみました。
明瞭に聴き分けられる耳は持っていませんが、そうか、新たな楽器が
加わった今回の演奏は、こんなに彩り豊かだったんだなと
想像しました。
心が洗われるような曲を教えて頂いて、ありがたいです。
「シャコンヌ」も、YouTubeリストの上部にあったハイフェッツとパールマン
のを聴きました。無伴奏なんですね。難しそう。

シシイちゃんが寝ているエスニックな味わいのマットは、もしかしたら
旅先で入手なさったものですか。

工藤さんの本、ご主人が認知症の診断を受けた友人に教えてあげ
ました。病状は初期段階ですが、すぐにも、そして、先々までも
とても参考になるだろうと思います。
介護に携わっていない私にとっても、日々の暮しの中での心の持ち
ようという点で、たくさんヒントを得ることができました。
工藤さんに、こんな人もいるよと、機会がありましたら伝えて頂き
たいくらいです。




2016.08.22 19:15 | URL | #sFtYLX32 [edit]
だだ(たかはたゆきこ) says...">ねこママさん"
母は子供の頃からずーっとオケをやってきました。
「仲間といっしょに弾く」ことがとても好きなのだと思います。
いろいろと思うところはあるようですが、純粋に弾きたいという欲望には勝てないのでしょう(笑)。
緊張感は脳みそをシャッキリさせてくれますから、舞台に出れば失敗はしないと思います。
コンサートの模様を動画でお伝えできれば良いのですが…私も出るので無理ですね(笑)


2016.08.22 20:26 | URL | #- [edit]
だだ(たかはたゆきこ) says...">ロコさん"
シャコンヌって、母にとってはちょっと燃える曲らしく、指揮者の先生の何気ない一言でしたがかなり刺激されたみたいです。
シベリウスの祝祭は、私が実際にフィンランドを旅した時に見た景色が蘇るようでとても好きなんです。
バイオリンだけの時よりも低音が入ると奥行きが出て本当に綺麗な曲だなあと改めて思いました。

シシィが寝ている敷物はたしかトルコで買ってきたものです。
ずいぶん古いのですが頑丈で、現在はシシィのお気に入りです。

本の感想、工藤さんにお伝えしておきました。
喜ばれると思います。
2016.08.22 20:53 | URL | #- [edit]

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