在宅介護しながらウィーンへ行く(行った)ブログ 猫とビターチョコレート

40代独身、介護離職してお金はないけど、車椅子の母を連れてウィーンへ行きました。
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バイオリンの音が響いた

今日はめずらしいお客様が来た。
自閉症の少年。
母のバイオリンの生徒だった。

2年半前、母が脳出血に倒れて3日後のこと。
まだICUで生死の境をフラフラ彷徨っていた頃のことだ。
彼は一人でレッスンに受けにきた。
全ての生徒さんに「レッスン中止」のメールは送ったはずだが、軽い知的障害もある彼にはうまく伝わらなかったらしい。
玄関先で
 「ごめんね。今日はお稽古はできない。先生、いないから」
といったら、彼はとても困ってしまった。
自閉症の彼は予定外のできごとに弱いところがある。
 「どうして、どうして、どうして?」
私は答える。
病気になっちゃったから。
 「びょうき、びょうき、かぜひいたの、かぜ、だいじょうぶなの?」
大きなよく通る声に私はうちのめされた。
風邪だったらどんなに良かったか、と思ったから。
でも、死にかけてるんだよとも言えなくて、言いたくなくて、答えに詰まってしまった。
そしたら彼も何もいわなかった。
お家の人に迎えに来てもらうことになったが、待っているあいだ、沈黙していた。
何もいわず、ただずっと体を小刻みに動かしていた。
内心はパニックだったのかもしれない。
我慢していたのかも。
うまく説明してあげられなくて、不安にさせて、悪いことをしたと思った。

あれから2年半。
病後初めて、母と彼は再会した。

母はバイオリンをみると「前みたいに弾ける」という妄想が出ることがある。
そして彼のほうもまた「先生がバイオリンを弾けなくなった」ということを受けとめきれるかどうか。
お互いにちょっと不安な再会だった。

けれど杞憂だった。
彼は混乱しなかったし、母も妄想を口走らなかった。
彼は就業訓練に通っていることを話してくれた。
母はデイサービスに通っていることを話した。
穏やかな時間が流れた。
そして最後に彼はバイオリンを弾いてくれた。

懐かしかった。
この部屋にバイオリンが響くのは久しぶりだと思った。
ニ十年以上にわたりレッスン室として使われていた部屋。
来る日も来る日も、母と幼い子どものバイオリンが響いていた部屋。
そこに生徒のバイオリンの音が戻ってくるというのは、なんだか、いいものだった。
あの日できなかったレッスンの穴埋めをしているみたいで。

「元気でいてください」
と別れ際に彼はいった。
先生に会えてとても喜んでいたようだと、お母さんから伺った。
きっと、ずっと心配してくれていたのだろう。
母が彼をずっと気にかけていたように。
・・・会えて、よかった。

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今日の猫写真は、誰かが遊んでくれるのを待っているサンジ。

遊んでループ

遊んでも遊んでも遊んでも
 「もっと遊んで!」
の無限ループ…。

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2 Comments

says..."管理人のみ閲覧できます"
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2015.09.13 22:31 | | # [edit]
だだ says...">秘密のコメントさんへ"
お疲れ様です。
気分転換していただけて、ちょっとでも貴女のお役にたてたなら、こんなに嬉しいことはありません。
がんばってくださいね!
2015.09.15 22:40 | URL | #- [edit]

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