「だん!」
先日から母がタブレットで『赤毛のアン』を読んでいる。
毎晩、料理中の私に聞こえるよう、音読してくれる。
昨夜ようやくアンが登場した。
アンはマシュウの馬車にのり、グリーンゲイブルスを目指している。
私は台所でタマネギを切りながら美しいリンゴ並木を思い浮かべる。
と突然、母が
「だん!」
と叫んだ。
「だん!」
・・・な、なに?
リンゴ並木を見た赤毛のアンが『だん!』て言ったの?
「だってそう書いてあるもん」
母は首をひねっている。
「アンは突然『だん!』と叫んだ、って書いてあるんだけど、これ何だろうねえ」
だん?
みつ?
だんれい?
だんふみ?
首をかしげている母の横からタブレットをのぞきこむ。
ちょうどページの切れ目で、文章はたしかに『だ』で終わっている。
ページをめくって、と頼むと・・・
母はなぜか次のページではなく前のページに戻りだした。
しかも2ページ分。
そして出てきたのが
『ん!』
で始まる箇所だった(『クスバートさん!』と呼びかける台詞だった)。
うまくページがめくれなかったため、まるで違うページの文章が母の頭のなかでくっついて、アンに「だん!」と言わしめたらしい。
(母にはこんなふうに見えている)
・・・おかあさん。
アンは「だん!」って叫んでないよ。
アンは「だまりこんでいしまった」だよ。
正しいページをめくってあげると
「あらほんと」
といってきちんと続きを読みだした。
2か月くらい前は一度に3ページしか読めなかった。
1ページしか読めない日もあった。
『赤毛のアン』を読み始めた最初の日も8ページが関の山だった。
それがこのあいだ、思いついてタブレット専用スタンドを買ってきた。
それを使って机の上に立てて読んだら、あら不思議!
昨夜は1日に40ページも読んだのだ!
だん!がツボにはまって笑い転げる私をよそに、母は
「読む本があるっていいねえ」
としみじみしていた。
人生の楽しみをひとつ取り戻せたかもしれない。
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