在宅介護しながらウィーンへ行く(行った)ブログ 猫とビターチョコレート

40代独身、介護離職してお金はないけど、車椅子の母を連れてウィーンへ行きました。
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妹を海に連れていったらあまり喜ばれなかった話

妹を連れてドライブに出かけた。
施設暮らしの妹は、なかなか外に出られない。
たまには外に出かけよう。
妹は車が大好きだから、きっと喜ぶと思って。
遠くまで走ろうと思って。

ところが、めっちゃ怒られた。
(妹の言語は30語くらいしかなくて、あとは「ギャー」「アー」「ウー」にしか聞こえないのですが、以下は翻訳です)

 「なんでドライブなの! 私、今はそんな気分じゃないし! 今日行くって聞いてないし!」
いや、前から言うてたやん。
ドライブ行こうねって言うてたやん。
 「前は前なの! 今日は家でテレビ見てまったりしたいの!」
なにおうううう!
嫌やったら出かける前に言うてや!
もう神戸まで来てしもうたやん!
かっわいくない!

兄弟ゲンカしたり。
コンビニに寄ったり。
氷川きよしを熱唱したり。
道に迷ったり。
そんなこんなで1時間かけて舞子の海へやってまいりました。

舞子公園

ここまで来てもまだケンカは続いておりました。
 「車から降りたくない! 暑いだけやん!」
そんなこと言わずに今日は付き合え! 私は海が見たいんだ!
 「じゃあ一人で行けば?」
うっわ、憎たらしいー!

ぶうぶう言う妹を車から降ろして車椅子に乗せた。
介助者は強いのだ。
お姉ちゃんは強いのだ。

たしかに今日も猛烈に暑い。
火傷しそうな熱波がおそってくる。
帽子をかぶせて膝にも薄手のタオルを一枚かけたけど、車を降りた瞬間に、妹はこの日一番はっきり喋った。
 「あちぃ!」

けれど海が見えるところまで出ると、笑顔になった。
 「気持ちいいーーー!」
明石海峡大橋だ。

大橋

真っ青な空と。
真っ青な海と。
でーっかい橋と。

私は家の中に閉じこもって生活しているから、たまには広い世界を見たくなる。
施設で暮らす妹もそうだろうと思ったのだ。

火傷しそうに暑いのも。
汗をかくのも。
生きている証。
そういうのをちょっとだけ感じたかった。

橋の下より
(橋の下は日陰になっていて、ちょっと涼むことができた)

来てよかったでしょ?
 「うん!」
妹は満面の笑みで答えた。
二人で写真を撮った。
お茶をのんで海をながめた。
 「帰ろ!」
妹が言った。
 「私はやっぱりお家でテレビがいい!」
・・・ほんと、かわいくない。

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兄弟ゲンカの結果、来週は焼き肉に連れて行くことを約束させられました…。


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「施設に帰る」と妹は言った

昨日、子猫がお粗相をして困ってる話を書いたけれど。
正直いうと、子猫のお粗相なんてどうってことない。
子猫のおしっこくらい、可愛いもんだ。
人間の大人のお粗相のほうがずっと大変なんだから!
…最近、母のトイレがうまくいかなくて、洗濯機がフル稼働しております。
6回用のパッドが1時間でオーバーフローってどういうことだ?

一方、重複障碍者の妹は、最近あんまり叫ばなくなりました。
ちょっと前まではよく夜中に叫んでいたのですが、その理由はどうやら
 「眠れない」
ことにあったようです。

夜は寝るもの。
電気を消して静かにしないといけない。

でも妹は思春期からこっちずーっと不眠症。
たぶん母と同じで、眠らなくても大丈夫な体質なのだと思う。
なのに、「寝ないといけない。」
静かにしないといけない。
それができない。
眠れないのがつらい。
で、
 「いらいらするー!ぎゃー!」
というパターンだ。

だからもう家に帰ったときくらいはあきらめて
 「起きてなさい」
ということにした。
電気もテレビも音楽もつけっぱなしで朝まで過ごす。
昼間と同じようにして過ごす。
 「あ、寝なくていいんだ」
と思ったら楽になるようで、ギャーギャー発作は(あんまり)起こらない。

もちろん、付き添う私も眠れない。
それどころか5分おきに
 「オムツ交換して」
 「チャンネル変えて」
 「音楽かえて」
 「お茶!ちがうコーヒー!」
召使いのごとく働かされる。
うっかり寝てしまうと
 「ギャー!」
っていわれるけど、以前みたいに一晩中、怪獣のごとく叫ぶわけじゃないから、ずいぶんマシだ。

どうしたの?

ぎゃー!のタイミングに居合わせたシシィはびっくり仰天。
しっぽが歯間ブラシみたいになってた。

一晩中テレビをみて、音楽をきいて、お菓子をたべて、姉妹トークに花を咲かせて、ときどきケンカをしながら過ごす。
そうしたら妹はかなりスッキリしたらしく、朝ごはんを食べ終わった頃に
 「かえる」
と言った。
施設に帰る、と。

家でやることはぜんぶやったから。
施設に帰る。
あそこが私の居場所だから。

そんなことを言ったのは、入所して以来、初めてのことだった。
今までは
 「帰りたくない」
としか言わなかったのに。
毎日楽しいんだね?
 「うん。まあ、いろいろあるけどね」
いろいろあるよね。
どこでもね。
 「ね」
いろいろあるけど私の居場所。
そう思わせてくれる人たちが、まわりにいるのだろう。
同室の人たちや、親切な職員さんには足を向けて寝られない。

じゃあまたね。
じきに迎えにいくから。
そういって送り出したときだけ、妹はやっぱり寂しそうな顔を見せた。

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子猫のお粗相は、いったいどこにやらかしているのか、探さないと分からないのが困りものです…。


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「障害をもって生まれてくる子は幸せを招く」と祖母は言った

妹が重い障害をもってうまれてきたとき、祖母はこう言った。

「こういう子は昔から『福子』って言いますのやで。こういう子がいると親はよけいに頑張って働くから、家はそのぶん豊かになる。豊かになって、家族みんな幸せになる。幸福を呼ぶ子なんや」

『福子伝説』だ。
日本はもともと、こんな言い伝えのある優しい国のはずなのに。

相模原の障害者施設が襲撃された事件で考えたことを少しだけ書こうと思う。

この事件の怖さは、無抵抗な弱者が殺されたというだけじゃない。
本当に恐ろしいのはあの言葉だ。
「障害者なんていらない」
という犯人の言葉。
刺激的なセリフだと思われたのだろうか。
ニュースや情報番組ではテロップとして何度も流れた。
私は何度も。
何度も何度も見た。
そのたびに胸がえぐられるような気持ちになった。

私が怖いのは、そう思っているのが犯人ひとりではないかもしれない、ということだ。
凶行に走らせたのは薬だけではない、ということだ。
社会はバリアフリー化がすすんでいるけれども世の中は押し隠した差別心であふれている。
たとえ口に出すことはなくても、こんなに極端でなくても、頭のどこかに心のすみに、殺人鬼と同じ言葉を抱いている人たちはたくさんいるのだろう。
だからこそ、この言葉は衝撃的であり、あんなにも何度もテロップで流されたのかもしれない。

「障害者なんていらない」。
なにも生み出さないから生きる価値がない。
動けもしない人生に意味はない。
犯人はそんなふうなことをほざいていたような気がするけれど。

寝ぼけるんじゃないよ。

生きる価値なんて、誰にもない。
人生に意味なんて、最初からない。
生きる価値も、人生の意味も、見つけだすのはその人自身だ。
価値も意味も自分自身で決めるものだ。
他人が決めるものじゃない。
たとえそれが親兄弟であってもだ。
「生きてたら可哀想だから一緒に死のう」
とか心中しちゃうことがあるけど、そんなもの親が決めるもんじゃない。
どんな人生だろうが重い障害をもっていようが他人が決めていいはずがない。

以前からブログに書いているように、私の妹は生まれつき重い障害をもつ、重度重複障害者だ。
読み書きはもちろん言葉もほとんど話せないし、自分ひとりで座ることすらできないし、スプーンを口に運ぶことも難しい。
紙オムツをつけ、車椅子に座り、生活のすべてを人に頼って生きている。

だけど私の妹は、すてきな笑顔で笑うことができる。
誰よりもいっしょうけんめい歌うことができる。
音楽を愛し。
映画を楽しみ。
アイスコーヒーとドライブが大好き。
友達もいるし、好きな人もいるし、仲の悪い人もいる。
人生を苦しむと同時に楽しむことを知っている。
すべての人と同じように。
あなたと同じように。

母が倒れた3年前から、妹は障害者施設に入所している。
家庭でのW介護は無理だったからだ。
施設の職員さんにはとても感謝している。

入所してからも私たちは毎月一緒に遊ぶし、春には2人で高校野球をみにいったし、昨日だって家族そろってファミレスで食事をした。
入所したって家族は家族。
外国に嫁いだもう一人の妹が今でも家族であるように。
ときどきウザくてときどき可愛い、どちらも私の妹だ。
そんなのあたりまえのこと。

障害者だからいらないなんて言うな!
私の妹をいらないなんて言うな!

一方で、誰かのことを「いらない」なんていう人はきっと、ほかの誰かに「おまえはいらない」といわれたのだろうな、と思う。

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少しのつもりがなかなかの長文になってしまった。

気分をかえて、本日の猫写真。
子守を拒否するサンジ君です。

遊びたくない
(右の襖の向こうに子猫がいる)

子猫が家にきてからというもの、サンジは毎日せっせと遊んでやっていたのだけれど。
今日は
 「遊びに行こうよ」
と誘っても
 「やだよ」
といわんばかりに狸寝入りをきめこんでいる。
 「ぼくのこと子守り要員だと思ってない?」
…うん、ちょっと。


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