妹を海に連れていったらあまり喜ばれなかった話
妹を連れてドライブに出かけた。
施設暮らしの妹は、なかなか外に出られない。
たまには外に出かけよう。
妹は車が大好きだから、きっと喜ぶと思って。
遠くまで走ろうと思って。
ところが、めっちゃ怒られた。
(妹の言語は30語くらいしかなくて、あとは「ギャー」「アー」「ウー」にしか聞こえないのですが、以下は翻訳です)
「なんでドライブなの! 私、今はそんな気分じゃないし! 今日行くって聞いてないし!」
いや、前から言うてたやん。
ドライブ行こうねって言うてたやん。
「前は前なの! 今日は家でテレビ見てまったりしたいの!」
なにおうううう!
嫌やったら出かける前に言うてや!
もう神戸まで来てしもうたやん!
かっわいくない!
兄弟ゲンカしたり。
コンビニに寄ったり。
氷川きよしを熱唱したり。
道に迷ったり。
そんなこんなで1時間かけて舞子の海へやってまいりました。
ここまで来てもまだケンカは続いておりました。
「車から降りたくない! 暑いだけやん!」
そんなこと言わずに今日は付き合え! 私は海が見たいんだ!
「じゃあ一人で行けば?」
うっわ、憎たらしいー!
ぶうぶう言う妹を車から降ろして車椅子に乗せた。
介助者は強いのだ。
お姉ちゃんは強いのだ。
たしかに今日も猛烈に暑い。
火傷しそうな熱波がおそってくる。
帽子をかぶせて膝にも薄手のタオルを一枚かけたけど、車を降りた瞬間に、妹はこの日一番はっきり喋った。
「あちぃ!」
けれど海が見えるところまで出ると、笑顔になった。
「気持ちいいーーー!」
明石海峡大橋だ。
真っ青な空と。
真っ青な海と。
でーっかい橋と。
私は家の中に閉じこもって生活しているから、たまには広い世界を見たくなる。
施設で暮らす妹もそうだろうと思ったのだ。
火傷しそうに暑いのも。
汗をかくのも。
生きている証。
そういうのをちょっとだけ感じたかった。
(橋の下は日陰になっていて、ちょっと涼むことができた)
来てよかったでしょ?
「うん!」
妹は満面の笑みで答えた。
二人で写真を撮った。
お茶をのんで海をながめた。
「帰ろ!」
妹が言った。
「私はやっぱりお家でテレビがいい!」
・・・ほんと、かわいくない。
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兄弟ゲンカの結果、来週は焼き肉に連れて行くことを約束させられました…。
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